施設紹介

ホーム > 施設一覧 > 京都府立医科大学附属病院 集中治療部

京都府立医科大学附属病院 集中治療部

古都の「まんなか」でロールモデルに出会う

京都市上京区にある京都府立医科大学が位置するのは、鴨川と京都御所に挟まれた、古都・京都の中心である。878床の同大附属病院には、一日平均約2000人の外来患者が訪れる。集中治療部は6床のICU、および同じく6床のPICUから成り、ほかに6床のNICUも擁している。ICUには年間約400人、PICUには年間約200人の患者が入室する。その8割を術後の患者が占め、なかでも特に心臓血管外科からの患者が多い。集中治療部のスタッフは、専任の医師が8人で、うち4人が集中治療専門医の資格を持つ。他に麻酔科医10人、外科医1人がICUでの業務を兼任していて、麻酔科医3人は集中治療専門医の資格も有している。看護師はICUに24人、PICUに24人で、臨床工学技士1人と臨床検査技師1人が兼任で業務を行っている。麻酔科からのローテーターを随時受け入れているほか、小児科、心臓血管外科の医師が研修中だ。全国から、見学者も多く訪れる。
国内の施設としては比較的医師数に恵まれた集中治療部では、若い医師がロールモデルとなる先輩を見つけやすいといえる。現在、8人の専従医のうち、3人は子育て中の女性だ。当直一部免除の非常勤スタッフとして、日中の集中治療部を支える大切な担い手となっている。
京都府立医科大学のPICUは、ICUに先行し、大学附属のものとしては最も古い1983年に設立された。京都府が大学病院に子ども病院を併設したかたちで、この6床が京都府および近隣の地域から患者を受け入れている。小児の専門病棟は、NICU1棟、PICU1棟、一般病棟3棟と、計5棟が立ち並ぶ。しかも、小児科専門の医師と、耳鼻科や眼科といった診療科の医師が連携できるため、密度の濃い治療が可能となっている。黎明期のPICU開設は手探りで行われたが、その経験を元に集中治療部部長の橋本悟氏が中心となってまとめた『小児ICUマニュアル』(永井書店)は、2011年中に改訂第6版が刊行される予定である。反対に、ICU の開設は遅く、1990年から稼働している。PICUとICUが明確に分かれている施設は大学病院ではほとんど例がなく、小児と成人に、より特化した治療を行えるのが大きな特徴である。

写真

教育の場を整えるための新たな取り組み

集中治療部の医師の仕事は、京都府立医科大学ではICU・PICU内にとどまらない。部長の橋本氏は医療情報部副部長を、副部長の志馬伸朗氏は感染対策部副部長を、助教の木村彰夫氏は医療機器管理部副部長を、それぞれ兼任している。いずれも院内で横断的に活動する部署であるため、他科との信頼関係が構築されていて、診療科同士の垣根は非常に低い。ITを利用した取り組みとして、ICUにいながら、手術室や心臓カテーテル室での映像を確認できる仕組みも確立されている。
平日の朝8時からは、約1時間のカンファレンスが行われる。看護師の申し送りから始まり、当直医、主治医、看護師によるBedside Roundで治療方針を決めていく。京都府立医科大学集中治療部では、看護師の裁量権が大きい。このカンファレンスで治療方針が決まらない場合、再度カンファレンスを行うが、決定後に方針が変わってしまわないようコントロールしているのは看護師だ。積極的に業務に取り組み採血や検査を行い、ときには治療方針に関して医師に意見する。治療の過程を理解して行うケアと、医師からの指示待ちのみで行うケアとでは、質の違いが大きいとして、若手からベテランまでよく勉強しているため、医師の側にもよい緊張感が生まれている。対等に議論できる環境が、きちんとつくられているともいえるだろう。
一般に、他の診療科部長と兼任の多い集中治療部部長だが、京都府立医科大学では部長は専任である。ポリシーは、「やらなくていいことは、なるべくしない」。めりはりをつけ、短時間で最大限の仕事をすることが求められているのだ。そこで生まれた時間は、研究に充てることもできる。医療情報、急性呼吸不全、小児の集中治療、感染症などの研究が進められている。
勉強会の実施は不定期だが、突然開催されることもあるという。院外で学ぶ機会をつくるため、昨年は長野県立こども病院との間で半年ずつの交換留学を実現させた。しかし、若手医師への教育は、今後の課題だ。現状の制度では、集中治療部門は病院の非採算部門の最たるものになってしまっている。集中治療医を志す若手をのびのびと育てるためにも、この状況を変えていくことが急務だと考える京都府立医科大学集中治療部では、まず、集中治療医学会主導の教育制度構築に積極的に参画していこうとしている。集中治療を取り巻く環境を改善すべく、集中治療医の存在をアピールできる学会活動によって、教育の場を提供するための足がかりを築こうとしているのだ。数年後には、ICU・PICUの2床ずつの増床が予定されていて、患者数もますます増加しそうだ。

写真

橋本悟
satoru@koto.kpu-m.ac.jp
志馬伸朗
shime@koto.kpu-m.ac.jp
ページの先頭へ